Side Story 〜葉月まい 番外編集〜

「だから、なんでまた現れるのよ?」

17時になり、仕事を終えたカレンは、ロビーのソファに座っている住谷を見つけてうんざりする。

「言っただろ? ボディガードだって。それにプレゼントを自宅まで届けなきゃ。ほら、行こう」

住谷はカレンを促して、外に止めてあったタクシーに乗り込む。

「住所は?」
「あなたがいる前では教えない」
「仕方ないなあ。じゃあ、俺が泊まってるホテルに行こうか」
「どうしてそうなるのよ!」

カレンは渋々運転手に住所を伝えた。

あっという間に到着すると、住谷は慣れた様子で支払いを済ませて運転手にチップを渡す。

「ちょっと、タクシーを帰らせてどうするのよ」
「あ、いっけない」
「なにその嘘くさいセリフ! わざとでしょ?」
「バレたか。ほら、君の部屋までこの荷物を運ぶから」

そう言って住谷は歩き出す。

カレンは完全に住谷のペースにはまっていた。

「それを置いたらさっさと帰ってよね」
「もちろん。他に選択肢はあるの?」
「ないわよ!」

玄関のドアを開けると、カレンは住谷を振り返る。

「そこの棚に置いておいて」
「でもこれ、重いよ? キッチンまで運ぶ」
「いいから!」
「そう? じゃあ」

住谷は玄関のラックの上に紙袋を置き、カレンににっこり微笑んだ。

「俺のおすすめのシャンパンなんだ。よく冷やしてから飲んで。お疲れ様」

そう言うとスッと玄関から出て行く。

「え、あの……」

思わず呟くが、そのままドアはパタンと閉まった。

シン……と静けさが広がる。

カレンはしばし呆然とその場に立ち尽くしていた。