「マリア、なんなの!? あの住谷ってやつ!」
他の社員から「やあ、アベ・マリア」と声をかけられるのに応えていた真里亜は、ツカツカと近づいて来たカレンの剣幕に苦笑いする。
「日本人って、もっと控えめでおとなしいはずでしょ? それなのに、なによあの図々しさ。若者だったら、今の日本は変わったわねーって思えるけど、あいつどう見ても私と同年代よね? どこをどうやったら、日本であんな性格に育つのよ」
「まあまあ。住谷さんは見た目もかっこいいし、モテるから」
「はあ? それでつけ上がってるの? あの程度の顔で? チャンチャラおかしいわ!」
カ、カレンさん、と真里亜はカレンをなんとかなだめる。
「あの住谷さんが霞んじゃうくらい、カレンさんはとびきり素敵な男性とおつき合いされてるんでしょうね」
「あら、私は特定の人なんて作らないわ。今晩どう? って誘われて、気が向いたら行く。それだけよ」
「ええ!? それって、毎回別の人とってこと?」
「毎回ではないわよ。でもそうね、少しでも嫌だなって思ったらもう会わないから、1回限りの人も多いかしら」
ひえー!と真里亜は両手で頬を押さえる。
自分には全く無縁の世界だった。
「マリアはさ、フミヤと結婚して幸せ?」
「え? はい。それは、もう……」
突然話を振られて、真里亜は顔を赤くする。
「ふうん、可愛いわね」
「え? どうして?」
「だって結婚って、この先この男以外とはつき合いませんって誓うってことでしょ? そう思うと、なんだかねえ。私には無理だわ。だってもしもこれから、うんと素敵な人が現れたらどうするのよ?」
「そんな。私にとっては、文哉さんと結婚できたことが奇跡ですから」
「はあー、そんなふうに思えるなんて健気ねえ。それでこそ奥ゆかしい日本女性って感じだわ。それに引き換え、住谷のやつは……」
そう言ってカレンは、キュリアスの社員たちと流暢な英語で会話している住谷を睨みつける。
話が振り出しに戻ってしまい、真里亜はなんとか気を逸らそうとした。
「カレンさん、ほら。お食事取りに行きませんか? 美味しそう!」
強引にカレンの手を取り、真里亜は料理が並ぶカウンターヘ向かった。
他の社員から「やあ、アベ・マリア」と声をかけられるのに応えていた真里亜は、ツカツカと近づいて来たカレンの剣幕に苦笑いする。
「日本人って、もっと控えめでおとなしいはずでしょ? それなのに、なによあの図々しさ。若者だったら、今の日本は変わったわねーって思えるけど、あいつどう見ても私と同年代よね? どこをどうやったら、日本であんな性格に育つのよ」
「まあまあ。住谷さんは見た目もかっこいいし、モテるから」
「はあ? それでつけ上がってるの? あの程度の顔で? チャンチャラおかしいわ!」
カ、カレンさん、と真里亜はカレンをなんとかなだめる。
「あの住谷さんが霞んじゃうくらい、カレンさんはとびきり素敵な男性とおつき合いされてるんでしょうね」
「あら、私は特定の人なんて作らないわ。今晩どう? って誘われて、気が向いたら行く。それだけよ」
「ええ!? それって、毎回別の人とってこと?」
「毎回ではないわよ。でもそうね、少しでも嫌だなって思ったらもう会わないから、1回限りの人も多いかしら」
ひえー!と真里亜は両手で頬を押さえる。
自分には全く無縁の世界だった。
「マリアはさ、フミヤと結婚して幸せ?」
「え? はい。それは、もう……」
突然話を振られて、真里亜は顔を赤くする。
「ふうん、可愛いわね」
「え? どうして?」
「だって結婚って、この先この男以外とはつき合いませんって誓うってことでしょ? そう思うと、なんだかねえ。私には無理だわ。だってもしもこれから、うんと素敵な人が現れたらどうするのよ?」
「そんな。私にとっては、文哉さんと結婚できたことが奇跡ですから」
「はあー、そんなふうに思えるなんて健気ねえ。それでこそ奥ゆかしい日本女性って感じだわ。それに引き換え、住谷のやつは……」
そう言ってカレンは、キュリアスの社員たちと流暢な英語で会話している住谷を睨みつける。
話が振り出しに戻ってしまい、真里亜はなんとか気を逸らそうとした。
「カレンさん、ほら。お食事取りに行きませんか? 美味しそう!」
強引にカレンの手を取り、真里亜は料理が並ぶカウンターヘ向かった。



