「ただいま。……明日香?」
玄関を開けた瞬は、返事が返ってこないことに首をひねりながらリビングに入った。
「明日香?」
キッチンに立っている明日香に声をかけると、振り向いた明日香は今にも泣き出しそうに半べそをかいている。
「ど、どうした!?明日香」
「瞬くん……。私、なんでこんなに出来ないの?もう自分が情けなくて、悔しくて」
そう言うと、遂にグシュグシュと子どものように泣き始めた。
「私、他の女の子みたいに出来ないの。うううっ……。あみちゃんなんて、あんなに可愛いのにお菓子作りも上手だし。きっと今頃、優斗くんすごく喜んでる。でも私は、うっく……、瞬くんに何もしてあげられないの。瞬くんのこと、大好きなのにー」
うぐっ、ひっく、としゃくり上げる明日香を抱きしめ、瞬はキッチンに目をやった。
ボールやまな板、包丁が無造作に置かれ、細かいチョコレートの欠片が散乱している。
「明日香、ひょっとしてチョコを作ってたのか?」
「うん。初心者向けの、失敗知らずのレシピを教わって」
なるほど、と瞬は置かれていたレシピに目を落とす。
『超簡単!絶対失敗しないチョコトリュフ♡』と書かれている。
ざっと見た感じでも、溶かして混ぜて固めるだけの単純な工程だった。
(これを失敗するって、ある意味才能あるな)
明日香の頭をなでながら、そんなことを冷静に考える。
「明日香、チョコレートを湯煎で溶かす時に、勢い良くかき混ぜた?それと生クリームを火にかけた時、弱火にしなかっただろ?」
「えっ、どうして分かるの?」
「ボールの中のチョコレートにお湯が混ざってる。あと、生クリームは煮詰まって分離してるな」
「すごい!瞬くん、そんなことも分かるのね?」
「まあ、想像はつく。もう一回やってみな?次は上手くいくよ」
「うん!やってみる」
明日香はにっこり笑ってから、あっ……と、また悲しそうな顔になった。
「チョコレート、全部使っちゃったの」
「そっか。それなら俺がコンビニ行って買ってくるよ」
「ううん、瞬くんにそんなことさせられない。私が行ってくるね」
エプロンを外して身を翻す明日香を、慌てて瞬は止める。
「だめだ!こんな夜更けに明日香一人で行かせられるか」
「でも、私が瞬くんに作りたいんだから、私が行かなきゃ」
「それなら俺も一緒に行く」
「そ、それは絶対にだめ!」
「なら俺が一人で行く。すぐ戻るから、いい子で待ってろ」
瞬は明日香の頭をクシャッとなでると、身をかがめてチュッと唇にキスをする。
ふえっ!と妙な声で驚く明日香にクスッと笑ってから、瞬は足早に部屋を出て行った。
玄関を開けた瞬は、返事が返ってこないことに首をひねりながらリビングに入った。
「明日香?」
キッチンに立っている明日香に声をかけると、振り向いた明日香は今にも泣き出しそうに半べそをかいている。
「ど、どうした!?明日香」
「瞬くん……。私、なんでこんなに出来ないの?もう自分が情けなくて、悔しくて」
そう言うと、遂にグシュグシュと子どものように泣き始めた。
「私、他の女の子みたいに出来ないの。うううっ……。あみちゃんなんて、あんなに可愛いのにお菓子作りも上手だし。きっと今頃、優斗くんすごく喜んでる。でも私は、うっく……、瞬くんに何もしてあげられないの。瞬くんのこと、大好きなのにー」
うぐっ、ひっく、としゃくり上げる明日香を抱きしめ、瞬はキッチンに目をやった。
ボールやまな板、包丁が無造作に置かれ、細かいチョコレートの欠片が散乱している。
「明日香、ひょっとしてチョコを作ってたのか?」
「うん。初心者向けの、失敗知らずのレシピを教わって」
なるほど、と瞬は置かれていたレシピに目を落とす。
『超簡単!絶対失敗しないチョコトリュフ♡』と書かれている。
ざっと見た感じでも、溶かして混ぜて固めるだけの単純な工程だった。
(これを失敗するって、ある意味才能あるな)
明日香の頭をなでながら、そんなことを冷静に考える。
「明日香、チョコレートを湯煎で溶かす時に、勢い良くかき混ぜた?それと生クリームを火にかけた時、弱火にしなかっただろ?」
「えっ、どうして分かるの?」
「ボールの中のチョコレートにお湯が混ざってる。あと、生クリームは煮詰まって分離してるな」
「すごい!瞬くん、そんなことも分かるのね?」
「まあ、想像はつく。もう一回やってみな?次は上手くいくよ」
「うん!やってみる」
明日香はにっこり笑ってから、あっ……と、また悲しそうな顔になった。
「チョコレート、全部使っちゃったの」
「そっか。それなら俺がコンビニ行って買ってくるよ」
「ううん、瞬くんにそんなことさせられない。私が行ってくるね」
エプロンを外して身を翻す明日香を、慌てて瞬は止める。
「だめだ!こんな夜更けに明日香一人で行かせられるか」
「でも、私が瞬くんに作りたいんだから、私が行かなきゃ」
「それなら俺も一緒に行く」
「そ、それは絶対にだめ!」
「なら俺が一人で行く。すぐ戻るから、いい子で待ってろ」
瞬は明日香の頭をクシャッとなでると、身をかがめてチュッと唇にキスをする。
ふえっ!と妙な声で驚く明日香にクスッと笑ってから、瞬は足早に部屋を出て行った。



