夜になり、夕食を食べ終えたあと、瞬はソファでドラマの台本を読んでいた。
明日香は二人分のコーヒーを淹れて、隣に座る。
「瞬くん。はい、コーヒー」
「ん、ありがと」
時刻は間もなく22時。
時計を確認すると、明日香は控えめに瞬に尋ねた。
「瞬くん、観てもいい?今日から始まる瞬くんのスペシャルドラマ」
「え?ああ、もう10時か。いいよ、観ても」
「ほんとに?嫌じゃない?」
22時から、今瞬が撮影中のドラマが放送されることになっていた。
バレンタインとホワイトデーにちなんだ特別枠の恋愛ドラマで、今夜が第一話となる。
瞬は、自分が出演しているドラマをあまり観たがらないタイプだった。
特にまだ撮影中に観ると、そのあとの撮影が恥ずかしくなるらしい。
明日香は、自分は観たいが瞬は嫌がるのではないかと気にしていた。
「大丈夫だよ。今夜の第一話は、朝から電波ジャックで番宣して、散々ダイジェスト版を観たから」
「そう?じゃあ、音小さくして観るね。瞬くん台本読んでるから」
「いいよ、俺がイヤホンする」
瞬はテレビをリモコンでつけると、イヤホンで音楽を聴きながら台本を読む。
時折ちらりと明日香の様子を横目でうかがうと、明日香は食い入るように画面を見つめていた。
(なんか、やっぱり恥ずかしいな)
瞬はなるべくテレビが視界に入らないようにしながら、台本に集中した。
そろそろドラマが終わる頃。
隣に座る明日香が、ハッと息を呑んで口元に手をやるのが分かった。
なんだ?と、瞬もテレビに目を向ける。
(キスシーンか。実際は寸止めだったのに、よく撮れてる)
相手役の女優の背中越しに映る瞬は、目を閉じて顔を寄せ、本当にキスをしているように見えた。
(あ、そうだ。明日香に言っとかないと。寸止めだってこと)
そう思い、明日香、と声をかけると、明日香は目を潤ませ、頬を赤く染めながら見つめてきた。
どうやらドラマのキスシーンで、何かのスイッチが入ったらしい。
恋する乙女のような表情に、瞬のスイッチもポチリと押されてしまう。
「……する?キス」
低い声でささやくと、明日香は目を大きく見開き、気持ちを振り切るように首をブンブン横に振った。
「しない。だって火曜日じゃないんだもん!」
そう言うと、目をうるうるさせながら瞬の顔を見上げてくる。
(あー、もう!何だこれ?可愛過ぎるだろ!)
その時エンドロールが始まり、サザンクロスの新曲が流れてきた。
「カッコイイね、この曲」
明日香は両手を組んでうっとりと聴き入る。
やがてドラマが終わると、目尻に浮かんだ涙を照れくさそうに指で拭ってから立ち上がった。
「あの、じゃあ私、お風呂に入ってくるね」
恥ずかしそうにうつむき、はにかんだ笑みを浮かべてリビングを出て行った明日香に、瞬も顔を赤くする。
(ヤバイだろ!?あんなに可愛いのにキスしちゃだめとか、耐えられん。拷問だー!)
深夜になり、すっかり寝入った明日香に瞬が熱烈なキスをしたのは言うまでもなかった。
明日香は二人分のコーヒーを淹れて、隣に座る。
「瞬くん。はい、コーヒー」
「ん、ありがと」
時刻は間もなく22時。
時計を確認すると、明日香は控えめに瞬に尋ねた。
「瞬くん、観てもいい?今日から始まる瞬くんのスペシャルドラマ」
「え?ああ、もう10時か。いいよ、観ても」
「ほんとに?嫌じゃない?」
22時から、今瞬が撮影中のドラマが放送されることになっていた。
バレンタインとホワイトデーにちなんだ特別枠の恋愛ドラマで、今夜が第一話となる。
瞬は、自分が出演しているドラマをあまり観たがらないタイプだった。
特にまだ撮影中に観ると、そのあとの撮影が恥ずかしくなるらしい。
明日香は、自分は観たいが瞬は嫌がるのではないかと気にしていた。
「大丈夫だよ。今夜の第一話は、朝から電波ジャックで番宣して、散々ダイジェスト版を観たから」
「そう?じゃあ、音小さくして観るね。瞬くん台本読んでるから」
「いいよ、俺がイヤホンする」
瞬はテレビをリモコンでつけると、イヤホンで音楽を聴きながら台本を読む。
時折ちらりと明日香の様子を横目でうかがうと、明日香は食い入るように画面を見つめていた。
(なんか、やっぱり恥ずかしいな)
瞬はなるべくテレビが視界に入らないようにしながら、台本に集中した。
そろそろドラマが終わる頃。
隣に座る明日香が、ハッと息を呑んで口元に手をやるのが分かった。
なんだ?と、瞬もテレビに目を向ける。
(キスシーンか。実際は寸止めだったのに、よく撮れてる)
相手役の女優の背中越しに映る瞬は、目を閉じて顔を寄せ、本当にキスをしているように見えた。
(あ、そうだ。明日香に言っとかないと。寸止めだってこと)
そう思い、明日香、と声をかけると、明日香は目を潤ませ、頬を赤く染めながら見つめてきた。
どうやらドラマのキスシーンで、何かのスイッチが入ったらしい。
恋する乙女のような表情に、瞬のスイッチもポチリと押されてしまう。
「……する?キス」
低い声でささやくと、明日香は目を大きく見開き、気持ちを振り切るように首をブンブン横に振った。
「しない。だって火曜日じゃないんだもん!」
そう言うと、目をうるうるさせながら瞬の顔を見上げてくる。
(あー、もう!何だこれ?可愛過ぎるだろ!)
その時エンドロールが始まり、サザンクロスの新曲が流れてきた。
「カッコイイね、この曲」
明日香は両手を組んでうっとりと聴き入る。
やがてドラマが終わると、目尻に浮かんだ涙を照れくさそうに指で拭ってから立ち上がった。
「あの、じゃあ私、お風呂に入ってくるね」
恥ずかしそうにうつむき、はにかんだ笑みを浮かべてリビングを出て行った明日香に、瞬も顔を赤くする。
(ヤバイだろ!?あんなに可愛いのにキスしちゃだめとか、耐えられん。拷問だー!)
深夜になり、すっかり寝入った明日香に瞬が熱烈なキスをしたのは言うまでもなかった。



