Side Story 〜葉月まい 番外編集〜

昼休みになると、美桜はアレンに電話をかけてみた。

ワンコールですぐに繋がる。

「もしもし、美桜?」
「アレン!もう着いたの?」
「ああ。羽田空港からすぐタクシーに乗ったんだ。今、美桜のうちだよ」

ええ!?と美桜は驚く。

「アレン、うちに寄ってるの?」
「そうだよ、ご挨拶しにね。これからそっちに向かって、先にホテルのチェックインを済ませておくよ。あ、美桜。お母さんに、玄関に置いてあるスーツケース、美桜の荷物だから持って行ってって言われたんだ。俺がホテルに運ぶね」
「うん、そうしてくれると助かる。一度うちに帰らなきゃと思ってたから」
「それなら良かった。じゃあ、またあとで連絡するね。仕事がんばって」
「ありがとう。あとでね」

電話を切ると、美桜は思わずふふっと笑みをこぼす。

(もうすぐアレンに会える!嬉しい)

離れていたのはたったの一週間だというのに、美桜は早く会いたくて待ち切れなくなった。

(しかも日本で一緒に過ごせるなんて!アレンはイギリスだと仕事に追われて、なかなか二人でゆっくり出来ないもんね。よーし、日本にいる間は一日中べったりくっついちゃうぞ!って、待て待て。私は仕事だよ。トホホ……)

浮かれた気分が一気にしぼむ。
だが、充分恵まれていることを思い出し、気を取り直した。

「大好きな仕事も出来るし、大好きなアレンとも一緒に過ごせる!私ってばなんて幸せなの。しかも今日はクリスマスイブじゃない。張り切っちゃうぞー!」

美桜は廊下の片隅で一人、気合いを入れていた。