片翼を君にあげる④

***
【実家】

「っ、やべ〜っ」

「天使だ……っ」

俺と兄貴はベビーベッドで眠る明るい薄茶色の髪をした赤ん坊の寝顔を見て、思わずそう言葉を漏らした。
この愛らしい赤ん坊は、去年の初夏に産まれた姉ヒナタとその夫であるミライさんの長男のショウ。

未来(みらい)を輝く()()らしてほしいーー。

そう言って、ミライさんが名付けたそうだ。

ミライさんの名前を漢字で書くと「未来」。
姉貴のヒナタは漢字で書くと「陽」。
そして、その2人の子供が「照」と書いてショウ。

良い名前だと思った。
けど、「さすがミライさん!センスが良い」と思いつつ、なんだか"あのミライさん"がそう言う由来で考えた、って思うと意外にもロマンチストと言うか、クサいところがあると言うか……。ちょっと笑ってしまった。

「はいはい。やっと寝たんだから起こさないでよ?叔父(おじ)バカ2人」

ショウを囲んで楽しそうにしている俺と兄貴に、そう呆れ顔ながらも嬉しそうな声で言うのはもちろん姉貴。
確かに。眠っている時やご機嫌な時は天使だが、寝起きや機嫌が悪く愚図った時は大変だからな。
姉貴の言葉に顔を見合わせて頷き、叔父バカ2人は静かに部屋の電気を消すと移動した。


リビングへ行くと、食事をするテーブルの上に母さんが入れてくれた温かいお茶が用意されていた。
母さん、姉貴、兄貴、そして俺。それぞれの席に座る姿に……。久々に4人揃った事に、心が暖かくなった俺は自然と笑みが溢れる。

「どうしたのよ?ニヤけちゃって」

「いや、揃うの久々だな〜って……。幸せだな、って思ったんだ」

姉貴にツッコまれた俺が素直にそう答えると、隣に座っていた兄貴がその言葉に目を輝かせて、肩を抱き寄せてぎゅーっと抱きしめてきた。

「なんだよなんだよ〜!可愛い事言っちゃって!
そんっなに兄ちゃん達の事が大好きなのか〜?ツバサ君!」

少し前の俺なら、きっとこんな兄貴の茶化しに恥ずかしがっていただろう。けど、今は……。