キュッ、ダンッ、と上履きが床の上で止まる音と、手が勢いよく床を叩く音が響いた。
「アオイ、大丈夫?」
「うん、大丈夫……」
体ごと倒れるなんて、恰好悪い瞬間をみんなに見せずに済んでよかった。胸を撫で下ろしながら体勢を立て直そうとして、右足の違和感に気付いた。
まさか、捻挫。愕然としながら、自分自身に呆れてしまった。これじゃあしばらく部活に出られなくて申し訳ないし、なにより無様過ぎる。
「どしたの、アオイ」
「……ううん、なんでも」
さすがに部活は休まざるを得ないけれど、無暗に知られるのはくだらないプライドが許さなかった。顧問の先生にだけ伝えて、帰りに薬局で湿布を買って帰ろう。
そうして、「あー疲れた」「もー、毎年この時期イヤ過ぎる」「なんでこんなことやんなきゃいけないんだろうね」そんな愚痴を聞きながら、少しだけ右足を庇いながら歩いて更衣室に戻っている途中、ばったりと志彗先輩と赤岩先輩に出くわしてしまった。
「あ……お疲れ様です」
「やっほう、碧衣ちゃん。点数どーだった、俺と勝負する?」
かなり高得点だよ、そう言いながら、志彗先輩はわざとらしく顎に手を当ててみせた。ただの冗談まじりの自慢話、ただそれだけなのに、私の“女の子らしくない結果”なんて易々凌駕できる程度のものだと言われている気がする。
「……私も、それなりの高得点ですよ」
「マジ? 碧衣ちゃんカッケェね」
が、うっかり張った虚勢がとんでもないナイフとなって返ってきた。ザックリと胸に刺さったナイフのせいで、足首より胸が痛い。



