わたしたちは、恋をしない。〜パートナーは王子様?〜


「あ、あのっ」


花咲さんはまるで敷地内のことを知っているかのように、どんどん進んでいく。


さっき『あなたもでしょ?』って言われた。

それが何のことなのか、何となく分かる。

先生には詳しく聞けなかったけど、昨日の今日で特別寮に呼ばれたんだもん。


たぶん、きっと【パートナー制度】のことで──。


「あのっ、花咲さんも、そのっ、テストで……」


自分のことだけならいいけれど、他人にはっきり言うのは躊躇われて言葉を濁す。すると、


「うん、そう。結愛の場合わざとだけど。でもあなたは、単純にバカだったんでしょ?」

「ば、バカっ!?」


思いがけない暴言に口をパクパクさせる。


「あ、ごめん。名前聞いてなかったね」 


いや、謝るのそこじゃないと思うんだけど……。


「……橘あかねです」

「あかねちゃんね。結愛のことも名前で呼んで?」


言いたいことはあるけれど、花咲さんのペースに乗せられるように自己紹介をする。


「あかねちゃんは普通クラス?」

「うん。あの……結愛ちゃんは?」

「結愛は特進クラス」

「えっ⁉」


サラッと言われた言葉に、思わず大きな声を上げた。