九条くんが聞きたかったのは、こんな話じゃなかったのかもしれないのに。
つらつらと喋ってしまった自分が急に恥ずかしくなって、申し訳なさにぎゅっと目をつむる。
だけど、九条くんは……無言のまま。
そっと目を開けて九条くんの表情を確認すると、わたしのことをじっと見ていた。
え……。
「九条くん……?」
真面目な顔で、真っ直ぐ見つめられて、ドキッとする。
すると九条くんはフイっと目を逸らし、立ち上がった。
な、なんだったんだろう……。
よく分からないけれど、立ち去ろうとする様子に、機嫌を損ねちゃったんだと思う。
同時に、ほんの少し悲しくなる気持ち。
勉強を教えてくれたことにより、もしかしたら仲良くできるのかもって、ちょっと勘違いしちゃってたのかもしれない。
でも、仕方ないか……。
わたし、九条くんにとって迷惑でしかないもんね。
そう思い直して、気持ちを立て直そうとした時だった。
「早く」
「え?」
「早く片付けて。行くぞ」
急に立ち止まり、振り返ってそう言った九条くん。
行く?
それは、わたしも……?
色んな疑問符が頭に浮かぶ。だけど、
「は、はいっ!」
わたしは反射的に返事をして、立ち上がった。



