「あかねちゃん、一緒にご飯──」
コンコンと短いノックの後に、開けられたドア。
目を向けると、そこには真央ちゃんが立っていて、「あ、ごめん」という顔をする。
そして真央ちゃんはそのまま出ていこうとしたから、わたしは首を横に振って、身振り手振りで真央ちゃんを止めた。
『どうした?大丈夫?』
「うん、ごめんパパ、友達が誘いに来てくれたから、ご飯食べに行ってきていい?」
『ああ、行っておいで』
「また連絡するね!」と続けて、わたしは通話の終了ボタンを押した。
「ごめんね、あかねちゃん。電話してたところに……」
「ううん、全然大丈夫だよ!」
「今の、お父さん?」
「うん」
勉強道具で散らかった机の上を、簡単に片づけて立ち上がる。
その机の隅には、小学校に入学したばかりのわたしと、パパとママの3人の写真。
「優しそうな声だったね」
「うん、すっごく優しいの」
あかねちゃんの言葉に、わたしはにっこり笑って返事した。



