苦手な上司にプロポーズすることになりました

 


 さて、ちょっと買い物でもして帰るかな。

 夕方、会社を出て、オフィス街を歩き出した佑茉は、道で立ち話をしている由人を見つけた。

 丸っこい顔で年齢がわからない感じのサラリーマンと話している。

 彼らはお辞儀をし合い、すぐに別れた。

 ようやく、由人が佑茉に気づく。

 彼に近づいて佑茉は訊いた。

「部長。
 今の方は――」

「三年くらい前、ちょっと一緒に仕事した人だ」

「よく覚えてますね~」

 私、人の顔覚えられなくて、と佑茉が言うと、
「俺も昔は覚えられなかったんで。
 もらった名刺の裏に特徴とか書いて、覚えやすくしたんだ」
と由人は言う。

 ほら、と今、持っている分を見せてくれた。

 へー、と言いながら覗くと、自分の名刺もあった。