苦手な上司にプロポーズすることになりました

 具体的な名前が出たらまずいなと思ったのだが。

 幸い、由人たちは全然関係ない話をしたあと、席を立ったようだった。

「ねえ、赤荻部長って彼女いるの?」

「いるんじゃないの?
 あれだけの人だもの」

 ……丸和泉さん情報によると、いないようなんだが。

 だが、彼女らにそれを教えて、立候補されても困る。

 私ではなく、おじさんが、と思いながら、佑茉は人の気配の消えた白い壁を見つめていた。

「しかし、料理をご馳走って、ハードル高いわ~、私には」

「そうよね。
 よほど腕に自信がないと、なんだ、この程度かって思われそうだし」

「部長、グルメっぽいしね~」