「寝る前に、思ったんです」 朝、佑茉は前庭で一緒になった由人に言う。 「なんか人生で一番幸せな誕生日だなって」 「えっ? なんでだ?」 と言う由人は、まだ昨夜の出来事を引きずっているようで、ビクビクして見えた。 「部長となら、ずっと楽しくやっていけそうだなって、思ったんです。 一番愉快な誕生日でした」 「愉快は求めてなかったな……」 と由人は呟いている。 「なにを求めてたんです?」 由人は沈黙したあとで、佑茉を見下ろし、名を呼んだ。 「薬川」 「はい」