苦手な上司にプロポーズすることになりました

「おい、佑茉。
 赤荻くんをヘッドハンティングしようとしていた会社が何処かに買収されるって噂があるんだ。

 引き抜きの話、消えるかもしれないぞ」

 和市の声はデカいので、由人にも聞こえているようだった。

 由人が腰を浮かしたので、和市に断り、スピーカーに切り替える。

「まあ、どうなるかはわからないが。
 いい条件の引き抜きがなければ、赤荻くんも辞めるとか言わないだろう?

 どちらにしても、赤荻くんが身内になってくれるのなら、その方がいいんだが」

 だがもう、絶対そうしなければならないというわけではなくなった、と和市は言う。

「しかし、せっかくの縁だし。
 こうなったらもう、君たちの意思で決めてくれていいから」

 じゃ、と和市は電話を切った。