苦手な上司にプロポーズすることになりました

 


 部屋に戻ったあと、由人は思い出していた。

 竜吾に、佑茉が家の何処にいるのかわからないのに緊張するのかと言われたことを。

 だが、佑茉はあのとき言っていた。

『部長がこの家に一緒に住んでいてくださるの。
 ちょっと嬉しいんです。

 同じ家の何処かに、誰かがいてくれて。
 人の気配があるって言うのが、なんか落ち着くんですよ』

 あのとき、お前でも、そういう殊勝なことを言うのか、と思ったものだが。

 今ならわかる、と由人は思っていた。

 俺も、今、そこにお前がいなくても、お前の気配を感じている――。