苦手な上司にプロポーズすることになりました

 


 その日の夜は、佑茉と裏の家の庭にある温室で酒を呑んでみた。

 二人で暮らすには広すぎるこの家には、まだまだ未到達な場所があって。

 歩き回るたび、新しい発見があり、常に旅先にいるような感覚で面白い。

 佑茉といるときの気分もどんどん変わっていって、常に新たな自分を発見しているような新鮮さがあるが――。

 でも、旅っていつかは終わるよな、と由人は思う。

 この家も無限に広いわけではないから、いつかこの家のすべての場所に到達してしまう日が来るだろうし。

 いつか、佑茉と自分のよくわからない関係にも決着が着く日が来てしまうのだろう。

 そんなことを思いながら、温室にある椰子の木の向こうの星空を眺める。

「そういえば、学生に戻っている夢を見たんですよ」
と佑茉が言う。