苦手な上司にプロポーズすることになりました

「小さな頃から佑茉は、あんぱんやろうと言ったら、
『皮だけちょうだい』
と言っていた。

『あんこはみんなにあげる』
 って言うから、他の子たちは、みんな喜んで、佑茉の分のあんこも食べていたな。

 赤荻くん、そんな健気な佑茉を大切にしてやってくれ」

 ほろりと涙を落としそうな顔で和市は言う。

「いやいやいや、おじさん。
 何度も言うようだけど、私、あんぱんの皮が好きなの。

 ね?」

 ……なんだろう。
 大金持ち同士の会話とも思えない。