苦手な上司にプロポーズすることになりました

「連れて逃げてください」

 は? という顔で彼女が見る。

 俺は今、半ば暴力的に薬川に心を持っていかれようとしている。

 どうにかしなければっ、と由人は焦っていた。

 竜吾がその心の声を聞いたら、

「……持っていかれたらいいんじゃないですかね?」
と言ってきそうではあったが。

 彼女はおもむろにポケットをゴソゴソしはじめ、由人の手に、コロンと黄色いキャンディを三つ落とした。

 手を振っていってしまう。

 ……まるで、子どもを慰めてったみたいだ。