苦手な上司にプロポーズすることになりました

 


「……お前は家でもスーツで仕事してるのか」

「はあ、この方が仕事してるって感じになって、気分が切り替わるので」

 だらっとやりたいから、リモートなんじゃないのか。

 ちゃんとメイクして、スーツを着ている佑茉を見て、そう思う。

 佑茉がさっきまで仕事をしていたという裏の家の長いデスクで、呑む。

 ちょうど庭の木々の上に月が見えていい感じだ。

 よく冷えた日本酒をグラスに注いでやると、ああ、どうもどうもと佑茉は嬉しそうにそれを受けている。

「こっちの家で仕事してたのか」

「そうなんですよー。
 静かで集中できましたよ」

 そう佑茉が言ったとき、テーブルにわずかに残っていたパイの屑のようなものを見つけた。

 それに気づいた佑茉は、はは、と笑い、
「静かにお菓子も食べられました」
と言う。