苦手な上司にプロポーズすることになりました

「あ、どうも。
 こんばんは」
と由人は愛想良く応じているが、その頭はフル回転しているように見えた。

 ……私も見たな、部長の名刺ホルダー。

 誰だろ。

 実際に見たことある人は裏に書いてあった特徴を見て、なるほど、と思ったんだけど。

 会ったことない人はイメージがわかなくて。

 そのとき、おっと、とその男性が小さな紙袋を落とした。

「大丈夫ですか?」
と手を伸ばした佑茉の手が、拾おうとしたおじさんの手に触れる。

「いたっ」

「大丈夫か?」

「あっ、すみませんっ。
 私、最近、静電気がすごくてっ」

 そのとき、佑茉と由人の頭に、名刺の裏に書かれた言葉が浮かんだ。