苦手な上司にプロポーズすることになりました

「あー、いえ、そうじゃなくて。
 部長が最近よく、思い出し笑いをされてると聞いたので。

 街で見かけた犬や猫のことでも思い出してらっしゃるのかなと」

「……何故、犬か猫」
と呟いたあとで、由人はふと気づいたように言う。

「そういえば、道歩いてて、ふと、思い出すときはあるな。
 犬猫じゃなくて、孔雀だが」

 ……何故、孔雀。

「うちのマンションの近くに孔雀が住んでて、たまに鳴くんだよ。

 あれは思い出すことあるよ。
 元気かなって」

 だが、笑いはしない、と由人は言う。

 そうですよね……。

「そもそも、なんで、思い出し笑いで、犬か猫なんだ」

「いや、笑いながら、やさしい顔をしてらっしゃったと聞いたので。
 相手は、犬か猫かなと」

「……俺は人間にもやさしいぞ」

 まあ、意外とそうなんですけどね、と思ったとき、由人が言った。