苦手な上司にプロポーズすることになりました

「『薬川さんって、怒らないし。
 面倒臭い仕事も進んで引き受けてくれる、ホタテのような人よね』と言ってたぞ」

 ……ホタテ?

「ホタテって、そんなに働き者だったかな、と思ったんだが。

 たぶん――

 『仏のような人』と言ってたんじゃないか?」

「……まあ、ホタテが働き者なのかもしれませんけどね」

 冥王星は見えるのかなと夜空を探しながら、佑茉は言う。

「蜃気楼を作り出すって噂の貝、なんでしたっけ?」

「ハマグリだろ」

 ホタテじゃない、と言われる。

 白く大きいロマンティックな月を(さかな)に、そんな話をして呑んだ。