苦手な上司にプロポーズすることになりました

 おかしいな、なかなか喧嘩にならない。

 我々はもしや相性が良いのだろうか?

 ちょうどカウンターの隅の二席が空いていたので、そこへ進められ二人で並んで楽しく酒を呑んでしまう。

 だが、そのとき、由人の頭の中に湯沢が降臨した。

「他の女の話などしてみるんだ。
 そして、反応を見ろ」

 それは湯沢から与えられていた第二の指令だった。

 おそらく、喧嘩をしてみろと言っても、なかなか喧嘩にならないことを見越していたのだろう。

 由人は、唐突に、
「実は公園で好みのタイプの女性に会ったんだ」
と語り出す。

 いや改めて語っていると、本当に好みだったのか、だんだんわからなくなってくるのだが。

 すると、佑茉は少し考え、

「もったいなかったですね」
と言ってきた。