苦手な上司にプロポーズすることになりました

 


「あ、カウンターで、できたての料理。
 いいですね」

 マッチ売りの少女のように佑茉はイタリアンの店の外から店内を眺めていた。

「やっぱり食べていきます?」
と佑茉が振り向く。

「さっきのワインはどうなるんだ……」

 そう言いながら、由人は思った。

 よし。
 ここで揉めるべきだろう。

 だが、由人の目にも、カウンターに座る人々が美味しそうな料理を食べながら、次々違うワインなどを頼んでいる姿が映った。

 うらやましくなる。

「そうだな。
 俺は、もう食べてきたんだが、ここで呑もうか」
とつい、言ってしまった。

「そうですか。
 では、行きましょうっ」
と佑茉が嬉しそうに笑う。