苦手な上司にプロポーズすることになりました

「とりあえず、かけてみるな。
 ただし、さりげなく」

「どうさりげなく?」
と特に声をかける予定はないが、突っ込んで訊いてみる。

「例えば、そうだな。
 時間を訊いてみるとか?」

「湯沢さん、いつも腕時計してますよね」

「時計を壊して、時計壊れたんですが、と言う」

 全然、さりげなくないですよね……。

 あと、その時計、高そうなんですけど。

「店長ならどうします?」
と湯沢は顔見知りの男前の店長に意見を求めていた。

「そうですね。
 怪我でもしたフリをして彼女に助けを求めるとか。

 心優しい女性なら、無視できませんよね」