苦手な上司にプロポーズすることになりました

 こちらに背を向けて話していた女子社員が行ってしまったあと、佑茉が自分に気がついた。

「部長、お疲れ様です~」
と手を振ってくる。

 ……お前は、こっち向いてたよな。

 何故、気づかない、と思ったとき、佑茉が言った。

「ちょうど、部長にお訊きしたいことがあったんですよ。
 いらっしゃったんですね」

「真正面にいたのに気づかなかったのか。
 まあ、簡単に存在を消される程度の男だからな……」

「なんの話です?」

 はっ、嫌味を言ってしまった。

 俺はもしや、薬川の口から俺の話題が出るのをちょっと期待してたとか?

 いやいや、そんな莫迦な……と思いながら、少し上の空で佑茉の質問に答え、その場を去った。