無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



そう言って、香乃ちゃんが指を差した先には、こちらを心配そうな顔でながめる、女の子たちがいた。


……心配、かけちゃってるなぁ……。



「うんっ! 行く行くー!」



なるべく、いつもと変わらない笑顔で。


いつもと変わらない私で。


……うまく私はやれていたみたい。



「なぁんだ。玲奈、全然傷ついてないじゃん。いつも通りって感じ」

「そうだよー! 私、これくらいで別に傷つかないしっ!」



そんな言葉の裏で、胸がズキズキと痛むのを感じていた。


だけど、私がいつも通りにふるまえていたから、教室中にただよっていた気まずさは消えていった。