無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



私の声をさえぎるように、染野くんが鋭い声で私の名前を呼んだ。


……え。


今、〝朝倉〟って呼んだよね、私のこと。


この前は、〝朝倉さん〟って呼んでいたのに……。


戸惑いのあまり、理解が追いつかない。



「もう俺にむやみに話しかけないでくれる?」



……ずきん。


心臓に槍がささったような、鋭い痛みがした。


ど、どうしちゃったの、染野くん……。


一人称も、〝僕〟から〝俺〟に変わってるし……。


ただ何も言えずに、ぼうっと染野くんを見つめ返す。



「俺、大っ嫌いだよ、朝倉のこと」



そう言って、キッと染野くんは私を睨んだ。