無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



そんな会話を交わしながら、私はこっそりと染野くんの席をちらっと見やる。


……えっ、う、嘘。


染野くんが、いる。


席に座っている。


だけどいつもと違うところがひとつ。


染野くんの周りに、人がいないのだ。


いつも誰かしら染野くんのそばにいるのに、今日は誰もいない。


染野くんは、窓の外をぼうっと見ていた。


……こ、これは染野くんに話しかける最大のチャンスだっ!


教室の空気が変に重いことにも気づかず、私はそんなことを思った。



「ごめん、ちょっと待ってて」



私の元へ来てくれた女の子たちにそう伝え、染野くんの方へと足を動かす。