この事件が起こったのは、金曜日のこと。
月曜日に改めて染野くんにお礼を言おうと思っていたのだけれど、彼は学校に訪れなかった。
体調をくずしたのかも、などとそのときは軽い気持ちでいたんだけれど。
あれから2週間が経った今でも、染野くんは学校やってこない。
どうしたん、だろう。
今日は来るかな。来てくれるかな……?
淡い期待を抱きながら、教室のドアを開けた。
教室に一歩を踏み出せば、数人の女の子が私を囲む。
「やっほー! おはよう玲奈!」
「おはよう香乃ちゃんっ!」
「玲奈ちゃんおはよー! 今日も可愛いねぇ」
「えへへ、ありがとう〜!!」

