泣き続ける私を、染野くんは何も言わずに、ためらいがちに抱きしめてくれた。 ……あった、かい。 優しくて安心できるその胸に、泣き顔を見られたくなくて、顔をうずめた。 「はあっ……」 強い恐怖感と不安のせいかな。 下手くそな私の呼吸音が響いている。 酸素が肺に行き届いていないのに、私はそれに気づくことができないらしい。 そんな私に、染野くんは声をかけた。 「大丈夫だよ。 ゆっくり、ゆっくり息をして……」 小さい子をあやすかのような声だった。 優しく優しく、私の背中をなでてくれる。