無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



次にやってきたのは、私を包みこむ誰かの温もり。


驚きのあまり、つむっていた目を開ける。


そこに広がった景色に、思わず目を見張った。


私の視界いっぱいには、不安げな瞳で私を見つめる、彼──染野くんの姿があった。


……な、なんで……っ?



「大、丈夫? 朝倉さん」



眉を下げて、私に染野くんはそう問う。


優しい声に安心して、私の目には涙が溜まり始めた。


……こわ、かった。



「死んじゃうかと、思った……っ」



激しい鼓動は鳴り止まない。


そして、一粒、二粒と私の目からは涙が溢れ出す。



「ふ、うぅ……っ」