無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



「……っ!」


あぁ、やっぱり。
みんながいなくなったなんて、嘘だったんだ。

僕が、悪い夢を見ていただけ。
だって、みんなここにいるじゃないか。

三人とも、必死になって僕の名前を呼び、僕を探している。

だから、僕は三人のもとへと駆け寄った。


「父さん、母さん、瑞樹……!」

「一樹……!」

「一樹か……?」

「兄ちゃん……!」


僕を見た瞬間、みんなが安心したように笑顔になった。

だから僕も笑った。

そのとき、母さんが僕の両肩に手を添えた。


「まったく……、いったいどこに行ってたの……!」

「そうだぞ、一樹。
父さんたちずっと心配してたんだからな」

「兄ちゃん……、見つかってよかったぁ……」


心配そうにする母さんと父さん。
瑞樹に関しては、安心したのか泣き出してしまった。

本当のところ、僕はどこに行っていたのか覚えていない。

でもみんながここにいる事実だけで胸がいっぱいで、そんなことはどうでもよかった。