足に力が入らない。
信じたくなんてないのに、その表情が、僕に本当なんだと訴えかける。
僕はとうとう、独りになってしまったのか。
でも、不思議と涙は出てこない。
本当だって分かっているのに、それを信じきれないからだろうか。
瑞樹も父さんも母さんも、みんないなくなってしまった。
今朝までいつもと変わらなかったのに。
今度は遊ぼうと約束して、いつも通り行ってきます、と会話を交わした。
あぁ……、あのときどうして僕は行かないと言ったのだろう。
行くとうなずいていたなら、僕が一人になることなんてなかったのに。
それか、行くのを止めればよかった。
僕は行く気にならないから、また今度みんなで行こうって。
今日はやめておこうって、そう言えていれば。
後悔の波ばかりが僕に押し寄せる。
「一樹さん……!」
しゃがみこんだまま動かない僕の背中に、橋本さんが手を添える。
鼓動の速さは、収まることもなく激しく音を立てていた。

