無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



案内所の人はそう言うと、どこか奥の方へ行ってしまった。

僕はその間に息を整える。
大きく深呼吸をして、自分の心を落ち着かせた。

そうこうしているうちに、奥の方からまた違う女の人が出てきて。


「あなたが、染野一樹さんですか?」

「……はい、そうです」

「私、お宅に電話をかけさせていただいた、橋本と申します。
染野美穂さんの緊急連絡先に、そちらの番号が登録されていたため、ご連絡させていただきました」


やけに具体的な説明をした後、橋本さんは小さくうつむいた。

そして、僕にこう語りかける。


「つい先ほど……、美穂さんも息を引き取りました」

「……っ!」

「現在、三人ともとてもご覧いただけるような状態ではございません……」


ドッドッ、と心臓が激しい音を立てる。
もうその場から一歩も歩けなかった。

橋本さんが、嘘を言っているようにはとても感じられない。

視界がぐわんぐわんと揺れて、僕はその場に膝から崩れ落ちた。