無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



瑞樹と父さんは死んだ……?母さんは重体……?
そんな……、信じられるわけないだろ……っ‼

だって、だって……!
瑞樹とは、約束したんだ……、今度は絶対遊びに行くんだって……っ。

ついさっきまでいつも通りだったんだ。
何も変わらない、日常だったはずなんだ。

視界が真っ暗になるような気がした。
ぐわんぐわんと揺れる視界の中、僕はただ受話器を握りしめる。


『あなたの名前と年齢を、伺ってもいいですか』

「……染野、一樹……。十四歳、です……」

『分かりました。今から病院に来ることはできますか?』

「……っ、行きます」


返事も待たずに受話器を置いた。

財布とスマホだけ持って外へと飛び出す。
こんな真冬の中、上着の一つも羽織らずに。

ここから病院までは少なくともバスで十五分ほどかかる。

だから、バス停まで足を止めずに走った。
一刻も早く病院に行くために。

……あの人の言葉が嘘だということを、確認するために。