無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



そう思うと、全身にゾクリと鳥肌がたった。

まさか。まさか、ね。
そんなことあるはずない。

──プルルル……

突然響いた着信音に、思わず肩をびくりと震わせた。

着信先は、僕のスマホではない。
……家の固定電話だ。

僕は体を起こし、固定電話の方へと歩き、受話器をとる。


「もしもし、染野です」

『もしもし。そちら、染野美穂(みほ)さんの親戚の方でお間違いないでしょうか』

「え?」


平静を装っているような女の人の声が、受話器から聞こえてくる。

今までこんなことを聞かれたのは初めてで、思わずすっとんきょうな声をあげてしまった。
ちなみに染野美穂、というのは僕の母さんの名前だ。


「そうですけど……。染野美穂の息子です」

『そうですか……。こちら、春花(はるか)市総合病院です』

「え……?」


春花市総合病院……?

春花市というのは、僕が住んでいる市のことだ。
そして、春花市総合病院というのは、この市で一番大きな病院。