無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



朝倉さん……。

彼女の笑顔を脳裏に思い浮かべると、胸がきゅんっとうずいたような気がした。

……え、もしかして今の時点で重症? 僕。

恋ってこんな、好きな人しか考えられなくなるものなの? 初めてだから分かんないな……。

でも、可愛いのは事実だし。
他の男になんか取られたくない。

……っ、あーもう、僕が僕じゃないみたい……。

こんな僕って、存在したんだ。


ソファに横になって、片腕をおでこに付ける。

……本当、調子が狂う。


「一樹、父さんたち行ってくるぞ」

「うん、行ってらっしゃい」

「ちゃんと留守番してるのよ」

「分かってるって」


何度も聞いた母さんの忠告を、半分流しながら返事をする。

母さんが心配性なのは分かるけど、もう中二だしさすがに大丈夫だって。


「じゃあ、兄ちゃん、行ってくるね!
今度は一緒に遊ぼうね、絶対だよ!!」

「ああ、約束な」

「……うん!」


リビングの扉から顔を覗かせた瑞樹が、笑顔でそう言う。