無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



どこで聞いたのかも思い出せない言葉通りの仕草をしてみる。

そっと朝倉さんの背中に手を置き、優しくさすった。


「大丈夫だよ。
ゆっくり、ゆっくり息をして……」


震えないように、なるべく安心できるような柔らかい声になることを意識して、僕は朝倉さんにそう声をかける。

その甲斐があってか、数分も経てば朝倉さんの呼吸は完全に収まった。

すると、朝倉さんは顔をあげて、僕と視線を合わせる。
もう顔色はすっかり良くなっていて、元気になったことが感じられて一安心した。


「ありがとう、染野くん……っ」


その言葉に、心臓がきゅんっと音を立てる。


「助けてくれて、ありがとう……っ!」


そう言うと、朝倉さんは涙で濡れた瞳で、ふわりと優しく微笑んだ。

その笑顔にぎゅんっと心臓が鷲掴みされたかのような感覚がして、胸が苦しくなった。

……っ、綺麗だし、なにより……可愛すぎる。
こんなの、惚れない男いないでしょ……。

それを悟られないために、なるべく平静を装いながら、僕も朝倉さんと同じように微笑んだ。