無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



──ドンッ


突然、強く何かがどこかで当たったような音がして。

……何の音?

そう不思議に思って、なんとなく音のした方に目をやると。


「……朝倉、さん?」


そこには、ホームに立っている朝倉さんがいた。

なにかの拍子でよろけたように、一歩、二歩と点字ブロックの前へと足が進み、体が線路の方へと傾く。

近くにいたおじさんが、「してやったり」とでも言うように笑っていた。

……まさか、あのおじさんが朝倉さんを……っ⁉

でも、そんなことを考える場合ではなかった。

……あのままじゃ、確実に線路に落ちるぞ……っ!

そう思ったら、体が勝手にそちらへと走りだしていた。
そして、朝倉さんの腕へと手を伸ばし、それをつかんでこちらへと引き寄せる。


「朝倉、さん……っ‼」

「え……っ」


こちら側に大きく傾いた朝倉さんの肩に、もう片方の手を回す。
そのまま、朝倉さんは僕の胸の中に収まった。