「……っ」



一樹くんに触れられたところを手で触る。


もう……っ、やっぱり不意打ちはずるい……っ!
本当に、ドキドキ、する……っ。


ドキドキと高鳴る心臓と戦っていると、すぐに一樹くんが戻ってきて。



「お待たせ、玲奈」

「わっ、早かったね……!」



私服を身にまとった一樹くんは、私の隣に腰掛けた。


その姿を目で追っていると、なにやら真剣な顔をしている一樹くんと目が合ってしまって。



「……玲奈」

「な、なあに?」



その表情にドキリ、と心臓が鳴った私は、うわずった声で返事をした。


わ……っ、変な声になっちゃった……っ。


なんて慌てている私とは裏腹に、一樹くんはすっと目線を下げた。



「……最近、素っ気ない態度とってて、ごめん」

「……へ?」



まさかその話をされるとは思わなくて、思わず拍子抜けしてしまう。


一樹くんは俯いているけれど、眉を下げて申し訳なさそうな表情をしているのが伝わってくる。