無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「そうだけど。何か問題でも?」

「はあ……っ!?」

「もう金輪際、玲奈に手を出すな。
次はどうなるか分かってんだろうな」

「……っ、ならバラしてもいいんだな!!
お前らが同居してること!!」

「バラしたいならバラせば?」



へ……っ!?


一樹くんが同居していることにすんなり頷いてしまったことも、バラすことになにも言わないことも、全部にびっくりしてしまう。


一樹くん、どうしちゃったの……っ?


驚きのあまり、こぼれていた涙も引っ込んでしまった。


ただ、一樹くんの声は聞いたこともないほど低くて、冷たくて。


よほど真剣に怒ってくれているのが分かる。



「……分かったよ!!」



突然、そんな吐き捨てるような言葉が聞こえてきたと思ったら、スタスタと足音が聞こえてきて、やがてそれが遠ざかっていった。



「……もう大丈夫だよ」



そんな安心する声が頭上から聞こえてきたと思ったら、あっという間に一樹くんの腕が離されてしまった。