彼が私を知っているということは、何か接点があったはずなんだ。
えーと、えーと……。
あごに手をあてて、記憶をめぐらす。
そのまましばらく考えこんでいると、彼が不思議そうな顔をしているのに気づいた。
そこで、自分の行為を省みて、はっとする。
……やっちゃった。
早く、返事をしないといけないのに……!!
何も言わずにずっと、彼の顔を凝視して考えこんでいたんだ、私……。
は、恥ずかしすぎるよ……っ。
ごめんなさい、と言おうと口を開く。
でも、私が言葉を発するより前に、彼がふっと、吹き出して笑ったんだ。
「あははははっ!!」
え……、えっ?
彼は、お腹を抱えて笑っている。

