その瞳には、さっきまでの怒りの色は少しもなかった。



「……なんなの、うざっ」



水野さんはそう吐き捨てて、その周りの女の子たちと教室を出ていった。


それを機に、緊張が弱まったのか、クラスのみんなは何事もなかったように話し始めた。



「玲奈……!!」



私の名前を呼んで、琴葉ちゃんはぎゅっと私に抱きついた。


わわっ、琴葉ちゃん……っ!?



「ど、どうしたの、琴葉ちゃん……っ?」

「ごめんね、玲奈。
あの子たちを止めること、できなかった」

「いいよ、そんなの! すごく嬉しかったよ。
ありがとう、琴葉ちゃんっ!」



涙目になっている琴葉ちゃんに、私はそう声をかける。