私の言葉に、一樹くんが切なげな笑みを浮かべた。
「……っ」
……なんでそんな顔を、するの。
激しい雨の音が戻ってくる。
どくっ、どくっ、と心臓が嫌な音をたてはじめる。
……本当に一樹くん、覚えていないのかな。
「……思い出したいな」
ぽつりと、一樹くんが何かをつぶやいく。
けれど、私はそれをきちんと聞き取ることができなかった。
そこから電車を乗り継いで、家に帰ったけれど、一樹くんのさっきの言葉は現実になることはなくて。
特になにかされるでもなく、今のことをを考えこんでいるのか、すぐに自室へと行ってしまった。
それを寂しく感じてしまった私は、どうしようもなく一樹くんのことが好きらしい。

