無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



そうだ、折り畳み傘がカバンの中にあったはず……!


そう思って、カバンの中をあさってみる。


……だけど。



「ない……」



いつもはきちんとあるのに、運悪く今日は家に置いてきちゃったみたいで。


どうしよう、どうしよう……!


こんな雨なのに、何もない状態で帰るわけにはいかないよ……。


そう慌てふためく私を見て、一樹くんはおかしそうに笑った。



「大丈夫、俺持ってるから」



え……?


一樹くんの手元を見ると、そこにはしっかり折り畳み傘が握られていて。


でも、もちろん傘は一本しかない。


これじゃあ、一人は傘に入ることができない。



「傘、一本しかないから、一人は入れないよね……。
一樹くん、使っていいよ」



一樹くんの傘なんだから、私が使うのは気が引けるし、なにより風邪をひいてほしくないし。


濡れるなら、私の方がいい、よね。