そうだ。
だけどあのとき、私は驚きと緊張でうまく話せなかったんだ。
実際、頭の中が真っ白になってしまって、何を言ったのか覚えていない。
それがきっかけか……。
たしかに、それから水野さんに話しかけられた覚えはない。
「知らないなら、教えてあげるよ」
一際力強い、琴葉ちゃんの声がした。
「ピュアで純粋で、誰より一途で真っ直ぐな天然美少女だよ」
と、ついさっき琴葉ちゃんが私に言ったセリフと、まったく同じことを口にした。
しん、と辺りが静まり返る。
水野さんたちが、息を飲んだのがわかる。
「……琴葉ちゃん」
その沈黙を破ったのは、紛れもない私だった。

