私が彼を好きなこと以前に、彼は私のことをとことん嫌っているのだ。
分かってるけど、片想いをやめることは、できない。
いつか、染野くんが振り向いてくれますように。
なんて、願っている。
「染野くんに嫌われるとか、朝倉さんかわいそー」
気まずい沈黙を破ったのは、いつもクラスの中心である、水野 凛香ちゃんだった。
だけど、それはきっと悪意のある言葉。
……こんな私でも、分かる。
少し笑いを含んだ、棒読みに近い言葉。
水野さんの口角は上がっていて、明らかに私をばかにしている……と、思う。
だけど、水野さんの周りにいた女の子たちはその言葉に乗っかって。

