……そ、そういえばこの間の朝も、目が合った気がする……っ。
たしか、初めて一樹くんにお弁当を作って渡したときだ。
そして、初めて一緒に登校した日。
あのときは緊張したけど、それ以上にドキドキした……っ。
一樹くん、突然頭をなでてきたり、腕をつかんで早歩きをしたりするんだもん……。
一樹くんの一挙一動にドキドキしてしまって、どうにかなってしまいそうだった。
だけど、一樹くんはそんなそぶり全くなかったから、意識しているのは私だけみたい。
……やっぱり、ちょっとだけ情けなくなる……。
恋心を寄せているのは、私だけに決まってるよね……。
私がドキドキしてしまうような一樹くんの行動も、一樹くんにとってはきっとなんでもない行動で。
それにドキドキしてる自分も恥ずかしい……。
あの日みたいに、私は笑みを浮かべてみる。
意識的に笑みを作ることは、昔から苦手なんだ。

