ふと、佐伯は俺の方へと視線を向けて、ぎょっとしたような顔をする。
「ごめん、染野。
ちょっと玲奈借りるわ」
「あー、うん」
そう言って佐伯は、朝倉の腕を取り、自分の席の方へと向かった。
何やら心配そうに熱弁する佐伯に、どこか困ったような笑みを浮かべる朝倉。
だけど、その佐伯の熱心さから、それほど朝倉を大切に思っているのが、こんな俺にも伝わってくる。
おろおろしたり、頬を染めたりと、忙しい朝倉の表情に思わず笑みがこぼれた。
この日から、異様なほどに朝倉を意識するようになってしまったのだ。
そんな朝倉をながめていると、ふいに朝倉と視線が重なった。
「……っ」
多分、俺も朝倉も息をのんだと思う。
俺がどんな反応をしようか迷っている間に、朝倉は破顔した。
よくある、目が合ったときに、にこってするやつ。

